ミュージカルソングへの誘い ~ No.18 In My Life / Heartful of Love

ミュージカルソングへの誘い

~No.18  In My Life / Heartful of Love

(作詞 ハーバート・クレッツマー(英語版) & アラン・ブーブリル(仏語版)

作曲 クロード ミシェル・シェーンベルク)

“レ・ミゼラブル”1986

この曲は、マリウスのパートで、ジョイン。

コゼット、そしてエポニーヌの3人でそれぞれが心情を吐露していく。

それぞれのキャストが織りなす人間模様のなかで、エポニーヌはテナルディエとその夫人の娘。

よく描かれるのは、悪人の娘は対極にあって純粋で傷つきやすく、それゆえに非業の死を遂げ、それを目の当たりにしてから親が自らの罪を悔い更生するという流れ。

レミゼで描かれるエポニーヌはその典型のひとりかもしれない。

代表曲であるOn My Ownをはじめ、彼女の曲はどこまでも純粋で、その曲に触れると浄化してもらえそうな気になる。

一方、マリウスとコゼットのほうは、エポニーヌの苦悩は知る由もなく、二人の世界に恥じらいもなく突き進んでいく。

その残酷さを知りながら歌うのは、共謀罪に入り込んでいくような錯覚に陥る。

 

不思議ね
どうしたのよ コゼット?
独りでいたから
知らないこと 多すぎたわ
いつも 何か
探してた 私の人生
いつも 遠くから
私 呼んでる声があるの
そして 遥かな世界の
歌は 私を待つのでしょうか
彼は 知っているのかしら
彼は 同じ思いかしら
そうよ私は もう独りじゃない
どうぞ 見つけだして

燃える 太陽の矢が胸に飛び込んだ
そして 僕の人生に天使たちの音楽
エポニーヌ 君のおかげだよ
僕を ここへ連れてきてくれた
僕は翔ぶよ 虹の空へ

突き刺さる 彼の言葉が
彼が求めたら捧げてしまう
みんなあげていいの
熱く命にふれた人
行こう 待つわ

溢れゆくこの想い 君を困らせた
あぁ 君の名前も知らない
教えて どうか僕に
この愛を恐れない
僕はマリウス・ポンメルシー
コゼットです
何を言えばいい
何にも
愛に触れて
夜さえも 眩しいよ
もう 離さないよ
コゼット コゼット
夢か いいえ
この愛を
切れない絆ね
一目で感じた

片想いだわ

仕方ないのね

私も

あたしはひとり
何か

いつも

何か 言って

いつも

夢ではない この愛は
夢ではないよ 夢なら消えた

 

ミュージカルへの誘い~No.17 Bui Doi ブイ・ドイ

ミュージカルソングへの誘い

~No.17 Bui Doi ブイ・ドイ

(作詞 アラン・ブーブリル&リチャード・モルトビー・ジュニア

作曲 クロード ミシェル・シェーンベルク)

“Miss Saigon” 1989

原作 プッチーニ 蝶々夫人

「ブイ・ドイ」はこれまで発表会で何度か歌ってきた。

市ヶ谷とものホール、渋谷La mamaその時々の思い出がよみがえってくる。

West Endでの衝撃的な出会い以降、歌いこむことで感情の入れ具合も程よい加減になってきて、「わたしは私」(ラ・カージュ・オ・フォール)とともに、自分のミュージカルソングIDのように思っている。

力強いメロディーとともに、歌詞はとても重苦しい。

Bui Doiは北ベトナムが南ベトナムで生まれた米軍との子供たちに名付けた蔑称。

多分に差別的な思いが背景にあり、「ごみくず」であったり、途中の和訳から使われなくなったが「混血」であったり、心に刺さる言葉が発せられるのもこの歌の特徴だ。

それでも魅力的なのは、残酷であればあるほど、このミュージカルのテーマが際立ってくるからだ。

 

日本語訳のほうが、メッセージソングとしての成り立ちを表しやすいのもこの曲の特徴であると思う。

戸井勝海さんによるカバー(ベスト・ミュージカル 「4 Knights」から)がお気に入り。

そしてコーラスの力も借りて荘厳なラストを飾る。