ミュージカルソングへの誘い
~No.17 Bui Doi ブイ・ドイ
(作詞 アラン・ブーブリル&リチャード・モルトビー・ジュニア
作曲 クロード ミシェル・シェーンベルク)
“Miss Saigon” 1989
原作 プッチーニ 蝶々夫人
「ブイ・ドイ」はこれまで発表会で何度か歌ってきた。
市ヶ谷とものホール、渋谷La mamaその時々の思い出がよみがえってくる。
West Endでの衝撃的な出会い以降、歌いこむことで感情の入れ具合も程よい加減になってきて、「わたしは私」(ラ・カージュ・オ・フォール)とともに、自分のミュージカルソングIDのように思っている。
力強いメロディーとともに、歌詞はとても重苦しい。
Bui Doiは北ベトナムが南ベトナムで生まれた米軍との子供たちに名付けた蔑称。
多分に差別的な思いが背景にあり、「ごみくず」であったり、途中の和訳から使われなくなったが「混血」であったり、心に刺さる言葉が発せられるのもこの歌の特徴だ。
それでも魅力的なのは、残酷であればあるほど、このミュージカルのテーマが際立ってくるからだ。
日本語訳のほうが、メッセージソングとしての成り立ちを表しやすいのもこの曲の特徴であると思う。
戸井勝海さんによるカバー(ベスト・ミュージカル 「4 Knights」から)がお気に入り。
そしてコーラスの力も借りて荘厳なラストを飾る。