ミュージカルソングへの誘い
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No.14 愛と死の輪舞(ロンド)
作詞 ミヒャエル・クンツェ
作曲 シルヴェスター・リーヴァイ
“エリザベート”1992
曲への想い
ミュージカルシーンの中で、
2000年代に入り衝撃的なインパクトを与えたのが
ドイツのクンツェの作品だった
中でも「エリザベート」は、その後のダンス・オブ・ヴァンパイア (1997)、モーツァルト! (1999)、レベッカ(2006)、マリー・アントワネット (2006)、レディ・ベス(2014)
と今に続いているクンツェブームの火付け役になったことに間違いない
エリザベートの存在は、
ウィーン観光の主役であり親しみやすく、
一度シェーンブルグ宮殿を訪ねれば、
必ずや彼女のファンになる
彼女の衣装やエクササイズ器具などを見ると
今にも部屋に飛び込んできそうなリアル感がある
一方で貧しくゴシップ好きなウィーンの街の人々が
今とは明らかな距離感を感じさせる
そこに「黄泉(よみ)の世界」から死神トートが現れるに至り
時代の感覚はいよいよ混とんとしてゆく
キャストはファントム、クリスティーヌ、ラウルとの共通性もある
ただオペラ座ではファントムの思いがメインストリームであるのに対し、
ここではエリザベートの意思がメインだ
フランクや息子ルドルフの影は
ラウルと比較すると薄い
それはエリザベートへの崇高性がどこまでも高く
トートは決められた運命の中で
ウィーン市内のゴシップに後追いで合わせている
ストーリーテラーのように見えてしまう
それでもこの作品に魅せられてしまうのは
それぞれが愛すべき人たちであり
このころの時代に対して
ある畏敬の念をもって
接したい思いがあるからだと思う
このクールでは同作品から
「パパみたいに」でエリザベートの父親役でも
アシストで歌うこととなり
トート役の時は、金髪のロングヘアーウィッグで
父親のマキシミリアン侯爵の時はダービーハットで
立ち回っていたっけ
歌詞
(訳詞:小池修一郎)
エリザベート 今こそ
黄泉の世界へ迎えよう
その瞳が胸を焦がし
眼差しが突き刺さる
息さえも俺を捕らえ
凍った心溶かす
ただの少女のはずなのに
俺の全てが崩れる
たった独りの人間なのに
俺を震えさせる
お前の命奪う代わり
生きたお前に愛されたいんだ
禁じられた愛のタブーに
俺は今踏み出す
心に芽生えたこの思い
体に刻まれて
青い血を流す傷口は
お前だけが癒せる
返してやろうこの命を
その時お前は俺を忘れ去る
お前の愛を勝ちうるまで
追いかけよう
どこまでも追いかけてゆこう
愛と死の輪舞(ロンド)
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